チョコレートビースト レビュー

 シリーズ前作「インディゴの夜」のファンで、この「チョコレートビースト」も楽しみにしていた。(何度もこの gems blog にも出てきたほど)…と、いうことでレビューの真似事を。
 まず、このシリーズについて簡単にご紹介。

「なんでホストクラブって店も従業員もワンパターンなの? もっといろんなタイプがあってもいいじゃない」
(中略)クラブやカフェのようなインテリアで、パーカーにジーンズ、スニーカー姿の男の子たちが出迎えてくれるホストクラブ。(後略)
 (Webミステリーズ加藤実秋「ここだけのあとがき」より引用)


渋谷の片隅で若者たちが盛り上がる〈club indigo〉。ジョン太、犬マン、DJ本気、アレックス……、王道系にはない気さくで “笑い”のあるホストたちが、女の子を渋谷に通わせる。一方、オーナールームの晶と塩谷には、今夜もストリートのトラブル調査が舞い込む。(後略)
 (東京創元社「チョコレートビースト」解説より引用)

 王道のホストクラブからは外れた、変り種ホストクラブ「club indigo」のを副業として営む晶(本業はフリーライター)と塩谷(本業は雑誌の編集)。彼女たちの元には、どういうわけかひっきりなしに厄介事が舞い込む。その度に、店のホストたちと一丸となり、にわか探偵団と化してその謎を解き明かしていく、というストーリー。

 加藤実秋さんの文章は、面白い。上手下手ではなく、理屈抜きに面白いと思う。その理由の大きなところを、私は二つの点で感じる。
 まず一点目。加藤さんの書くキャラクターたちはとても雄弁だ。多弁ではなく、雄弁。キャラクターが持っている考えや行動理由を、それぞれのキャラクターの口で喋らせることができる。(これが下手な作家は、どのキャラも似たような言葉でしか喋らない)同じ話の中で色々な視点を感じ取ることが出来て、大げさに喩えるなら、読了後には生身で多人数と触れ合ったのと似た感覚すらある。
 もう一点。(執筆途中)